相続対策と資産運用に効く、不動産小口化商品 アセットシェアリング

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不動産小口化商品とは vol.2

他の投資商品との違い

不動産投資には不動産小口化商品のほかにREITや投資用不動産(ワンルームやアパートなど)という方法もあるため、実際に選ぶときに迷ってしまいます。

それぞれの特徴と、不動産小口化商品との違いを見ていきましょう。

REIT(不動産投資信託)との違い

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REITとは、複数の投資家から集めた資金を不動産に投資して収益を上げ、それを投資家に分配する投資方法です。

具体的には、投資家は不動産投資法人の株式を買い、不動産投資法人が実際に不動産投資を行うという仕組みです。投資信託の不動産版をイメージしていただければわかりやすいでしょう。

REITは投資信託と同じように取引所に上場しているため、株や投資信託を売買するようにREITも売買することができるのです。

また、REITも不動産小口化商品と同じく少額から出資できることから、複数の不動産に分散して投資が可能です。不動産投資法人は投資する不動産物件を数多く抱えており、適宜入れ替えを行います。こうした理由からREITは流動性・換金性ともに高いため、投資初心者でも少ないリスクで始めやすいのもメリットです。

不動産小口化商品との大きな違いは、不動産を所有するかどうかという点です。不動産小口化商品であっても匿名組合型の場合は不動産を所有するわけではありませんが、それ以外の不動産小口化商品では、不動産の持分を投資家が所有することになります。

一方REITは不動産投資法人の株式を買う形になるため、不動産を所有しません。

また、REITは上場株式と同じ方法で評価されるため、不動産のような相続税の節税効果は見込めません。

相続や生前贈与の対策として不動産投資を考えているのなら、REIT以外の方法が適しているといえます。

投資用不動産との違い

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投資用不動産は、物件を投資家が個人で購入し、賃貸に出して家賃収入を得たり売却して売却益を得たりして収益を上げていきます。投資する金額が大きいため、大きく当たれば大きな利益を得られる点や、ローンを組むことで手持ちの資金以上のレバレッジをかけられるところがメリットです。

ただ、個人で不動産を購入しなければならないことから、なかなか高額の不動産に投資することが難しいのがデメリットです。また、購入した不動産の管理や運用も基本的に自分で行わなければならず、手間もかかります。

さらに、資金の問題から複数の不動産に投資することが難しいため、少額ではリスクの分散ができません。

不動産投資が持つこうした課題をクリアしているのが不動産小口化商品です。不動産小口化商品の場合は複数の投資家で1つの不動産を購入できるため、少額で不動産投資が始められる上、不動産の運用や管理は不動産特定共同事業者が行うため手間もかかりません。

不動産小口化商品のメリット

これまで、不動産小口化商品についてさまざまな角度から見ていきました。ここで改めて不動産小口化商品のメリットについて確認しましょう。

少額から投資可能でリスクも分散できる

不動産小口化商品は、安ければ数万円という少額から投資を行うことができます。そのため、一般的な不動産投資とは違い、複数の物件に投資することができます。

例えば東京と京都などエリアの違う物件に投資してみたり、ホテルとマンションなど用途の違う物件に投資してみたりと、さまざまな組み合わせで投資することができるのです。このように、一般的な不動産投資ではしにくいリスクの分散が可能です。

管理の手間がいらない

不動産を所有して投資する場合、不動産の管理は投資家が行います。また、賃貸に出して家賃収入を得る仕組みにしているのであれば、空室にならないようにリフォームする、借主を募集するための広告を打つなどの手間がかかります。

しかし、不動産小口化商品は不動産特定共同事業者が物件の管理を行うため、投資家にはこうした手間がかかりません。手軽に不動産投資に関わることができるというメリットがあります。

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購入費用が抑えられる

一般的な不動産投資との違いでも触れたとおり、不動産小口化商品は複数人の投資家で1つの不動産を購入し合う形です。

例えば、5,000万円の不動産を1人で購入しようと思うと5,000万円が必要ですが、50人の投資家が共同で購入すれば、1人あたり100万円で同じ不動産投資ができることになります。

複数の投資家で1つの不動産に投資することにより、都心の一等地に建つ高額な不動産にも手軽に投資することができます。この点も不動産小口化商品の大きなメリットです。

投資対象が明確

REITの場合、不動産投資法人を通じて不動産投資を行うため、自分がどの不動産に投資しているのか投資対象が見えにくく、不動産投資をしているという実感があまり得られません。

その点、不動産小口化商品は基本的に1つの特定した不動産に対して投資を行うため、自分がどの不動産に投資しているのかが見えやすく、不動産投資を行っているという実感が得られます。不動産投資に魅力を感じている人にとっては、REITよりも不動産小口化商品の方が適しているといえるでしょう。

収入は不動産所得で確定申告ができる(任意組合・賃貸型)

匿名組合型は投資家が不動産の所有権を持たないため、そこから上がる収益は雑所得扱いとなります。しかし任意組合の場合は不動産の持分を所有しているため、そこから得られる収益は不動産所得となり、不動産所得として確定申告が行えます。

不動産所得として確定申告ができる大きなメリットが、65万円の特別控除が認められる青色申告が使える場合もあります。※


※適用には条件があります。詳しくは所管税務署もしくは専門家等にお問い合わせください。

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相続・贈与に活用できる(任意組合・賃貸型)

任意組合型と賃貸型では不動産税制が適用されるため、相続税や贈与税対策として活用できます。詳しく見ていきましょう。

評価額を圧縮できる

例えば不動産を相続・贈与するとき、不動産の価格は土地は路線価、建物は固定資産税評価額をもとに相続税・贈与税が算定されることになります。路線価や固定資産税評価額は大都市では一般的に市場価格の2~3割程度となります。※2

仮にある不動産の時価が1億円の場合、路線価や固定資産税評価額は2,000~3,000万円程度で評価されます。不動産の特性や状況によってはさらに評価額が下がることもあります。これが、不動産が相続・贈与税対策になるといわれている大きな理由です。

また相続の際は、任意組合型と賃貸型では小規模宅地の特例も適用することができるため、要件を満たせばさらに不動産の評価額を圧縮することができます。


※2 不動産の特性により割合は異なります。

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*上記図は圧縮効果のイメージです。

相続人に平等に財産を分けられる

例えば長男・長女・次男が相続人だとして、相続財産が1,200万円の不動産のみの場合、その不動産を相続すると共有となります。

そうすると、不動産を持ち続けるか、それとも処分をするか等で相続人の意見が割れたとき、財産を分けることはかなり困難です。

しかし不動産小口化商品であれば、1口100万円の商品を12口購入しておき、それぞれに4口ずつ渡すなどして平等に財産を分けることができます。

このように、相続や贈与に活用できるという点は不動産小口化商品の大きなメリットといえます。

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不動産小口化商品のデメリット

こうしたメリットの多い不動産小口化商品ですが、やはりデメリットもあります。不動産小口化商品が有するデメリットはどこにあるのでしょうか。

投資商品が少ない

不動産小口化商品を扱う不動産特定共同事業者となるためには、先にも述べたように資本金が1億円以上などの高いハードルが設けられています。

誰でも簡単に不動産特定共同事業者になることができないため、不動産小口化商品はなかなか市場に出回らず、出回ったとしても早々に売り切れてしまい、希望の商品に投資ができないことがあります。

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事業者倒産のリスク

小規模不動産特定共同事業者が新設され、不動産特定共同事業者になるハードルは低くなりました。しかしその分、経済的基盤の弱い事業者が多数市場に参入してくることで、事業者倒産のリスクが高まることも考えられます。

事業者が倒産した場合、投資期間中であっても不動産が売却され、それ以上投資を続けられなくなる可能性があります。そうすると思わぬところで元本割れするリスクが生じてしまいます。

投資を始めた当初設定していたスキームが大きく崩れてしまい、資産運用計画が狂ってしまう可能性があるのです。

さらに、不動産の所有権が事業者にあるスキームでは投資家の手元に不動産の持分が残りません。 こうした事業者倒産のリスクを最小限にするためには、経営基盤が安定した事業者を選ぶ目が必要です。

融資が使えない

不動産投資であれば、不動産投資ローンで資金を借り入れることができます。しかし不動産小口化商品は共同所有という特性から担保設定ができないため、融資を受けることができません。

そうすると手持ちの現金の限度でしか投資ができないため、大きくレバレッジをかけることが難しいのです。裏をかえせば金利上昇リスクがないとも言えますが、この点も1つのデメリットといえるでしょう。

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流動性が低い

不動産小口化商品は売却して換金することもできますが、REITのように取引市場に上場しているわけではないため、買ってくれる人を探すことが難しく、換金化に時間を要する場合があります。

投資用不動産であれば、不動産会社が利用するREINS(不動産情報交換のためのオンラインシステム)などのネットワークに情報を載せることもできます。

しかし不動産小口化商品は不動産特定共同事業者しか取扱いができないため、こうしたネットワークを使うこともできません。

将来的に換金も視野に入れているのなら、独自のネットワークを持って買主を見つけやすくサポートしている事業主を選ぶなどの工夫が必要です。

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まとめ

不動産小口化商品の特徴や他の不動産投資商品との違いについてお伝えしました。

不動産小口化商品には大きく分けて3つの種類がありますが、大まかに分類すると、相続や贈与の対策として不動産小口化商品を考えているのであれば【任意組合型】【賃貸型】、少額から運用し、あまりリスクを取りたくない場合は【匿名組合型】が適しているといえます。

元本割れのリスク対策や不動産のタイプは事業者によっても個性があるところなので、自分の投資スタイルに合った事業者を選ぶことも大切です。

また、どのしくみの商品であっても、投資対象となる不動産がきちんと収益をあげることができるのか見極めなくてはありません。人口減少が叫ばれる昨今、立地や用途は今まで以上に不動産を選ぶ際の重要なポイントとなっています。

不動産小口化商品のデメリットやリスクをしっかり理解しながら、投資を始めてみてはいかがでしょうか。


vol.1の記事はこちら >>> vol.1




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この記事を書いた人

金子 千鶴代
ステラワークス代表・ライター。 商業施設や飲食業界などで10年近く経理・総務に従事し、2016年にライターとして独立。 「難しい制度や知識を誰でも簡単に身につけられる知識に変える」をモットーに、これまで法制度や行政、住宅や公的保険、投資などのコンテンツを数多く執筆。